1.海外株式市場が乱高下、投資選択が悩ましい

6月最終週、日・米株は高値ボックス圏を維持するも、中国株は最高値から急落しました。
― 日経平均株価は2万円台が定着してきましたが、足元軟調の地合い
― 米国株は、米6月雇用統計が市場予想を下回ったことで小幅反落
― 中国株・主要指数は景気指標の悪化から、上海・深セン市場とも大幅続落
最近の海外株式投資では、特に次の点に注意が必要です。
①株価・為替リスクとともに地政学リスクを考慮する必要
②米国・欧州の金融政策の動き、中国の景気動向に注目
③信頼できる情報ベンダー・アナリスト情報の入手(決算、ニュース等)
個人投資家の場合、海外投資はネット証券経由での株式購入、又はNISA・401K口座での株式投信購入が中心です。中国・欧州の株式市場を見る限り、株価の不安要因が増々増幅し投資の緊張度合いが高まってきています。

2.今、保有銘柄(海外株式)に何が起きているのか?

日本から海外に株式投資する場合、もっとも一般的なのは投資信託を買う方法です。
投信購入時の当初組入銘柄は、購入時の交付目論見書「組入証券明細」に書かれています。
しかし、最新状況を知りたい場合、委託会社・ホームページで「月次レポート」記載の組入銘柄名・株数の変化を都度確認する必要があります。
―「月次レポート」は運用担当者のメッセージ
基準価格の変動・ベンチマークとの実績比較の他に「組入上位銘柄名・組入比率」が記載されており、特に海外市場が大きく変化した場合注意が必要です。もちろん突発的事態が起きれば、緊急レポートで急落後の運用対処方法を知ることができます。
―「月次レポート」は法定書類ではなく、各社各様
月次レポートは法定書類ではありません。あくまで投資者向け・サービスの位置づけで、
各社各様(参照:表1・MUFG投信、表2・フィディリティ投信の例)に記載されています。
表1:三菱UFJ投信:eMAXIS新興国株式インデックスの組入上位15銘柄
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表2:フィデリティ投信:フィデリティ・アジア・ファンドの組入上位銘柄(一部のみ)
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さてMUFG投信の第3位、またフィデリティ投信の第5位組入銘柄である、中国のインターネット企業、テンセント・ホールディングス(騰訊:香港ハンセン上場 )に着目してください。
何か突発的事件が起こった場合、そのニュースを早く知り・関連銘柄を売却した投信と、そのまま保有した投信では、基準価格等パフォーマンスに大きな差異が生じます。「月次レポート」は「日次レポート」ではありません。もし投信の運用会社から、海外組入銘柄について注意喚起情報がアラート通知されれば、顧客ポートフォリオのパフォーマンス・リスク管理に大いに貢献できます。
さて3章では、海外投資信託の最新組入銘柄情報につき「OneSource社サービスが何を提供し、利用者にアラート通知できるのか?」を説明いたします。

3.OneSource社の海外株式情報の提供

OneSourceは、世界主要取引所上場の企業、全世界の非上場企業を2350万社収録してます。
また、企業取締役等2800万人の人物情報、200カ国197産業の産業レポート、24000の業界誌を取りまとめたDBです。
①先ずは会社名を「アルファベット名tencent」入力
騰訊控股(テンセント・ホールディングス)を会社欄に入力するだけで、テンセントの
最新企業情報を簡単に入手できます。
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②OneSource出力画面からダウンロード
全ての情報を3クリック操作でで簡単にダウンロード出来るので、非常に助かります。
勿論、Excel、Word、PDF等の出力可能で、即実務で活用できます。
ここでは3つの出力事例をご紹介しましょう。
A. テンセントの最新ニュース(Latest News Stories by Onesource)
B. テンセントの証券アナリスト・レポート(Analyst Report by Onesource)
C. テンセントの株価スナップショット(Stocks Snapshot by Onesource)
A. テンセントの最新ニュース(Latest News Stories by Onesource)
それでは、テンセント社の直近ニュースを確認してみましょう。只今、時刻は7月4日(土)11:25です。昨日7月3日(金)で5本、一昨日7月2日(木)で6本の記事が配信されました。
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― テンセント社が、中国大手旅行サイト(LY.com)にCITICと共同出資(ロイター、エコノミックタイムズ配信)
― アリババ社とテンセントHD傘下のオンライン保険会社が、監督庁から新種保険・販売認可を取得(新華チャイナ配信)
7月初旬中国株式市場が乱高下する中、相変わらずテンセントの積極的な事業展開振りが目立っています。
B. テンセントの証券アナリスト・レポート
OneSource社サイトでは、JPモルガン、ドイツ銀、野村證券等、著名な大手投資機関の証券アナリスト・レポートを配信しています。簡単にサイトからダウンロード出来ますので、機関投資家等はレポート本文(PDF形式)を社内の各部門で共有しています。
是非、海外株式の投資判断にご活用ください。
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それではPDFをダウンロードし、テンセントの最近アナリストレポートを見てみましょう。
7月4日(土)時点では、6月23日付の発刊のアナリスト・レポートが最新です。
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― 世界のモバイル通信とインターネット市場(産業レポート)
Deutsche Bank/Markets Research Industry:Mobile & ConsumerInternet
Date:23 June 2015
― ドイツ銀株式リサーチ:テンセントの買い(Buy)を推奨(6月23日)
Deutsche Bank/Markets Research Rating/Buy
Asia/China/Technology/Software & Services/Company/Tencent
Date/23 June 2015 Company Update/Mobile monetization considered
0700.HK 700 HK HKG 0700/ADR Ticker ISIN/TCEHY US88032Q1094
レポート3本のうち2本が、ドイツ銀のレポート(6月23日)です。
これでテンセント買い安心の支援材料を得ることができました。
C. テンセントの株価スナップショット(Stocks Snapshot by Onesource)
Onesource社サービス・株価スナップショットでは、直近1年間の株価分析を週単位で
行っています。週次の動きを見てみると、中期・13週移動平均は上昇地合いですが、短期・4週移動平均が下落し、デッドクロス(短期線が中期線を割込み)の模様です。
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4.日本の投資信託残高が100兆円を超え

さて、日本の公募投資信託の総資産残高が、今年5月初めて100兆円を超えました。
一方米国では、1980年代個人向けに401kプランを開始、401Kの残高は1900兆円
(除くETF)と、既に日本の19倍の規模に成長しました。
今後、政府は国民の金融リテラシーを高め、1600兆円の個人金融資産を「貯蓄から投資」へ転換させるスタンスを更に推進するでしょう。
401Kプラン、NISA口座等の顧客には、投資のことは殆ど分からないと云う、投資家も多いはずです。国内・海外投信の安定的なリターンの確保・維持するために、顧客向け情報サービスの更なるレベルアップが、投信の健全な発展・普及に今求められています。
以上